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マンションを相続した場合、小規模宅地の特例は使えないのか

  • 文責:税理士 内堀昌樹
  • 最終更新日:2024年11月15日

1 マンションの場合でも小規模宅地等の特例が使える場合がある

マンションであっても、小規模宅地等の特例は適用可能であり、万が一、小規模宅地等の特例を適用せず、相続税の申告を行ってしまうと、払いすぎた相続税が戻って来ない場合がございますので、注意が必要です

そもそも小規模宅地等の特例とは、簡単にいえば、土地の評価額を最大80%減額するという特例となります。

小規模宅地等の特例の詳細については、国税庁のホームページをご確認ください。

参考リンク:国税庁・相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

この小規模宅地等の特例については、土地だけでなく、土地の上に存する権利についても適用対象としているため、マンションの敷地権に対して適用が可能となります。

そもそもマンションについては、土地の敷地権と建物の区分所有権とが一体となっており、敷地権とは、マンションが建っている土地を利用する権利のことをいいます。

通常、敷地権については、土地全体の何分の何という形で、登記事項証明書に記載されています。

当該敷地権については、土地の上に存する権利であるため、小規模宅地等の特例の「宅地等」にあたるため、特例が適用できることとなります。

もっとも、敷地権が小規模宅地等の特例の「宅地等」に当たるとしても、当該マンションの使われ方や当該マンションを相続する相続人の状況によって、小規模宅地等の特例が使える場合が限られます。

2 マンションに被相続人が住んでいた場合

まず、代表的なものとして、被相続人が当該マンションに住んでいたい場合で、被相続人の配偶者や一定の要件を満たす同居の親族が当該マンションを相続した場合、小規模宅地等の特例を適用することができ、敷地権の評価額を80%減額することができます。

なお、同居の親族の場合は、相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続き当該マンションに居住し、かつ、そのマンションを相続開始時から相続税の申告期限まで有していることが条件となっています。

また、被相続人に配偶者や同居の親族がいない場合、一定の要件を満たした場合、同居していない親族であっても、小規模宅地等の特例を使うことができる場合があります。

いわゆる「家なき子特例」というものです。

家なき子特例を使う場合は、相続開始前3年以内に日本国内にある取得者、取得者の配偶者、取得者の三親等内の親族または取得者と特別の関係がある一定の法人が所有する家屋に居住したことがないことや、相続開始時に、取得者が居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないことなど、複数の要件があります。

なお、被相続人の自宅マンションに対する小規模宅地等の特例について、80%の減額対象となるのは330㎡の敷地権部分のみであり、それを超えた部分は、特例の対象外となります。

3 マンションを人に貸していた場合

被相続人がマンションを人に貸して継続的に賃料を得ていた場合、貸付事業用宅地として、敷地権に対し、小規模宅地等の特例が使える場合があります。

もっとも注意点として、当該マンションを相続した相続人が相続税の申告期限まで貸付業を継続し、かつ、その土地を所有する必要があり、また、相続開始前3年以内に新たに貸付業を始めた土地ではないことなどの要件を満たしていない場合、小規模宅地等の特例が使えません。

また、貸付事業用宅地の小規模宅地等の特例についても面積制限があり、200㎡までの敷地権に対してであり、居住用のマンションと異なり、減額も50%となります。

なお、居住用マンションと賃貸事業用マンションがある場合、面積制限との関係で、どちらを優先して特例を適用するかについては、敷地権の価額次第となりますが、敷地権の価額がほとんど変わらない場合は、基本的に居住用マンションの方が330㎡まで80%減額できるため、居住用マンションの方に小規模宅地等の特例を使うことが多いでしょう。

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