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「相続税の制度」に関するお役立ち情報

相続税の債務控除

  • 文責:税理士 内堀昌樹
  • 最終更新日:2024年8月8日

1 相続税における債務控除について

相続税は、被相続人が残した預貯金等のプラスの相続財産から、借金や未払いの税金等のマイナスの財産を差し引いた額をもとに計算します。

このマイナスの財産を差し引くことを債務控除といいます。

債務控除できる債務は、相続開始日時点で存在する債務で確実と認められるものとされています。

債務控除がどれだけ認められるかで、相続税の額も変わってきますので、債務控除の対象を正確に把握することはとても重要です。

以下では、債務控除の対象となるものについて、代表的なものをご説明いたします。

なお、債務控除の対象となるものの詳細については、以下の国税庁のホームページもあわせてご確認ください。

参考リンク:国税庁・相続財産から控除できる債務

2 相続税と借金

被相続人が、金融機関等からお金を借り入れていた場合は、その金額を債務控除の対象として、相続財産から差し引くことができます。

ただし、被相続人が生前にローンでお墓を購入し未払債務が残っていた場合には、お墓が非課税財産となることとのバランスを取るため、債務控除をすることはできません。

3 相続税と葬式費用

葬式費用は、通常、相続開始後に相続人が契約の主体になるもので、被相続人の債務(負債)ではありませんが、債務控除することができます。

ただし、葬式費用の全てを債務控除できるとは限りません。

通達では、香典返しの費用、法会に要する費用(初七日・四十九日の費用等)、墓地墓石の費用、医学上又は裁判上の特別の処置に要した費用(解剖費用等)については債務控除できないと定めています(相続税法基本通達13-5)。

これらの費用は、よく間違える部分であり、実際に葬式費用として債務控除しようとする方も多いため、注意が必要です。

債務控除できる葬式費用の詳細については、以下の国税庁のホームページもご確認ください。

参考リンク:国税庁・相続財産から控除できる葬式費用

参考リンク:国税庁・第13条《債務控除》関係

4 相続税と市県民税

市県民税は、毎年1月1日を基準に、名古屋に住んでいれば、名古屋市から通知が来ます。

相続開始時点で、市県民税が未払いとなっている場合、相続人が代わりに納める必要があります。

市県民税は、毎年1月1日時点で1年分発生するので、その年の全額が、相続開始日時点で存在する債務で確実と認められる金額となり、未払いの金額を債務控除することができます。

住民税の支払いは、その年の6月、8月、10月、翌年の1月合計4回ですので、例えば、1月の上旬に亡くなり、前年分の住民税1回分が未払いの場合は、その年1年分の住民税と前年の1回分の住民税を債務控除することができます。

5 相続税と自動車税

自動車税は、毎年4月1日を基準に発生します。

所有者が名古屋に住んでいれば、各区を管轄する県税事務所から通知が来ます。

自動車税は、住民税と異なり、一度に全額の納付をする必要がありますので、4期に分けて支払う住民税と異なり、未払い部分が分かりやすいです。

また、5月頃に通知が来て、5月31日が支払いの期限ですので、納付忘れというのも余りありません。

ただし、被相続人が4月上旬に亡くなり、そのあとに自動車税の通知がきたとしても、4月1日時点で、債務が確定しており、債務控除できるということに注意が必要です。

いつ債務が確定するかを確認して、債務控除することで、相続税を減らすことができますので、相続開始後に支払ったことを証明する領収書等は捨てずに保管しておくことが重要です。

6 相続税と固定資産税・都市計画税

固定資産税・都市計画税は、毎年1月1日を基準に、その時点で不動産を所有していた者に課税されます。

固定資産税・都市計画税は、通常、4月から5月頃に、不動産が存在する市区町村から送られてきます。

固定資産税・都市計画税の納税については、一括で納付することもできますし、4回に分けて納税することもできます。

固定資産税・都市計画税も、市県民税と同様、毎年1月1日時点で1年分発生するので、その年の固定資産税・都市計画税の未納付額全額が、相続開始日時点で存在する債務で確実と認められる金額となり、未払いの金額を債務控除することができます。

たとえば、令和6年2月に被相続人が亡くなり、その後、相続人が所有することになり、被相続人が令和5年度の第4期分の固定資産税・都市計画税を支払っていない場合、令和5年度の第4期分の固定資産税・都市計画税だけでなく、令和6年度分の固定資産税・都市計画税全額について、債務控除できます。

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