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小規模宅地等の特例の適用にあたっての同意

  • 文責:税理士 内堀昌樹
  • 最終更新日:2023年1月5日

1 税金の問題と法律の問題の関係

相続の問題について、多くの弁護士事務所や税理士事務所では、税金の問題は税理士、法律の問題は弁護士というように、ばらばらに対応を行っています。

ところが、現実には、相続の問題では、税金の問題と法律の問題が深く絡むことがあり、両方の知識が必要となることがあります。

以下では、両方の知識が必要となる仮想事例を紹介したいと思います。

2 小規模宅地等の特例が問題となる事例

⑴ 遺産の取得

遺産は、被相続人が居住していた土地・建物、駐車場として第三者に賃貸されていた土地、預貯金でした。

相続人は、子2人であり、1人が被相続人と同居し、もう1人が独立して別のところに住んでいました。

遺産分割協議がまとまらなかったため、相続人2人がともに弁護士に依頼し、遺産分割調停申立がなされ、最終的に家庭裁判所で調停が成立することとなりました。

結果、被相続人と相続人の1人が同居していた土地・建物については、同居していた相続人が取得し、駐車場として第三者に賃貸されていた土地については、同居していないもう1人の相続人が取得することとなりました。

⑵ 相続税申告

ところが、調停段階では、誰がどの遺産を取得するかについては決着がついたものの、どのように相続税の申告を行うかについては、何らの話し合いも行われていませんでした。

後日、成立した遺産分割調停に基づき、相続税申告が行われることとなりました。

そこで問題となったのが、どの不動産について小規模宅地等の特例を用いるかということでした。

⑶ 小規模宅地等の特例

被相続人の自宅の土地・建物については、被相続人と相続人が同居していましたので、居住用の土地に該当し、小規模宅地等の特例により、土地の評価額を80%減額することができ、同居していた相続人に課税される相続税を、より大きく減額することができました。

他方、駐車場として第三者に賃貸されていた土地については、貸付事業用の土地に該当し、小規模宅地等の特例により、土地の評価額を50%減額することができ、同居していなかった相続人に課税される相続税を、より大きく減額することができました。

このように、小規模宅地等の特例の対象になる土地が複数あり、特例の限度面積を超える面積である場合は、特例の適用対象となる土地を取得した相続人全員の同意により、どの土地に特例を適用するかを確定しなければなりません。

⑷ 同意できないと

ところが、調停で激しい応酬がなされたことにより、申告の段階では、相続人2人が完全に仲違いした状態になっており、どの土地に特例を適用するかについて、お互いに同意することができませんでした。

結果として、2人の相続人は、いずれも、小規模宅地等の特例を用いることができず、土地の評価減を受けることができないまま、多額の相続税を申告・納付することとなってしまいました。

3 このような事態を避けるためには?

それでは、このような事態を避けるために、どのような行動をとるべきだったのでしょうか。

1つは、調停手続の中で相続税の問題についても協議を行い、相続税の問題を踏まえた調停を成立させることが考えられたと思います。

たとえば、調停手続の中で、小規模宅地等の特例の適用対象となる土地を確定し、あらかじめ同意の書面を作成しておくこともあり得ると思います。

一方の土地について特例を適用する場合は、特例が適用される土地を取得した相続人の相続税の負担がより軽くなりますが、その分、負担が軽くなった相続人が取得する預貯金を少なくすることにより調整を行い、調停を成立させることもあり得るでしょう。

4 税理士法人心の特色

税理士法人心には、税理士兼弁護士が複数名所属しています。

税金の知識と法律の知識の両方を持っているのであれば、事前にこのような問題の発生を予測し、可能な範囲で対応策を練ることも期待できるでしょう。

当法人は、税金と法律の双方からサポートを行う体制を構築しています。

名古屋圏内で、相続人間で紛争が発生している中で相続税申告を行わなければならない等の問題でお困りの方は、一度、当法人にお問い合わせください。

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