「相続税の制度」に関するお役立ち情報
払いすぎた相続税を取り戻す方法
1 更正の請求について
相続税申告を行い相続税の納付を行った後で、相続税を払いすぎていることが判明した場合、税務署が払いすぎた分を自主的に返還してくれることはありません。
しかし、税務署に払いすぎた相続税の返還を請求することができます。
このように、払いすぎた相続税の返還を請求することを「更正の請求」といいます。
2 更正の請求ができる場合
更正の請求ができる代表的な場合として、以下のものを挙げることができます。
⑴ 計算ミスにより、過大な相続税を納付していた場合
計算ミスで過大な相続税を納付していた場合には、本来の計算方法により納付すべき相続税を算定し、払いすぎた差額を返還してもらうことができます。
⑵ 財産評価を工夫することにより、納付すべき相続税額が減額される場合
特に土地の評価において顕著ですが、財産に特定の減額事由があることを指摘し、財産の評価額を減額することにより、納付すべき相続税額を減額することができる場合があります。
例えば、面積の大きな土地、形状がいびつな土地、道路との間に高低差がある土地、道路との接続が悪い土地等については、土地の評価額を減額することができる可能性があります。
これらの減額事由については、気づくことなく申告がなされていることも多いため、新たに指摘することにより、相続税が減額される可能性があります。
3 更正の請求の手続き
更正の請求を行う場合には、更正の請求書を作成し、当初の申告を行った税務署に提出する必要があります。
その際は、計算根拠となる書類を作成し、更正の請求書に添付して提出する必要があります。
税務署は、更正の請求書と添付資料を確認し、特に問題がなければ、数か月後に払いすぎた相続税の還付を行います。
参考リンク:国税庁・相続税及び贈与税の更正の請求手続
4 更正の請求の期限
更正の請求の期限は、原則として、法定の申告期限から5年以内とされています。
ただ、相続税や贈与税の場合は、更正の請求手続きの特則が定められています。
具体的には、相続税や贈与税の申告後、相続や贈与特有の事情が発生した場合に、その事由が発生してから4か月以内に更正の請求手続きをしなければならない旨が定められています。
例えば、遺留分侵害額請求に基づいて支払うべき金額が確定した場合や、遺贈に係る遺言書が発見され、又は遺贈の放棄があった場合などがあります。
他にも相続税法32条に定められている事由が生じた場合が対象となっています。
なお、相続税申告における更正の請求手続きでは、あらかじめ未分割申告を行う際に遺産分割が3年以内に終わる見込書を提出し、遺産分割終了までに3年超かかる場合は2か月以内にやむを得ない事由がある旨の承認申請書を提出しなければならないなど、かなり複雑な要件が定められています。
要件を満たしていない場合、更正の請求によって払いすぎた税金を返してもらうことはできなくなりますので、必ず、あらかじめ相続税に詳しい税理士に相談しましょう。
5 更正の請求についてのご相談
当法人は、更正の請求についてのご相談もお受けしています。
過去に行った申告について、更正の請求ができるかどうかのチェックもさせていただいています。
過去に行った申告について、更正の請求ができるかどうかが気になる方は、当法人にご相談ください。
名古屋にお住まいの方からのご相談をお待ちしております。
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