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相続税の物納とは何ですか?

  • 文責:税理士 内堀昌樹
  • 最終更新日:2024年10月18日

1 相続税を現金一括で支払えない場合の対応方法

相続税の納付は、原則として、現金で一括して納付しなければなりません。

ご自身に現金で払えるだけの十分な資力があれば問題ないですが、故人の財産から相続税を支払うつもりだとすると、不動産が多く、現預金が少ないような場合には、現金で相続税を一括して支払うことができないこともありえます。

そういった場合、まずは相続税の延納制度を利用することが考えられます。

延納とは、5年から20年以内の期間で、相続税を分割払いすることができる方法です。

詳しくは「相続税は分割払いもできますか?」をご覧ください。

延納制度を利用しても金銭で納付することができない場合には、物納制度の利用を検討する必要があります。

2 相続税の物納制度の意義と要件

⑴ 物納制度の要件

物納制度は、以下の要件を満たす場合に利用することができます。

参考リンク:国税庁・相続税の物納

  1. 延納によっても金銭で納付することが困難となる事情があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度とすること
  2. 物納が許される財産であること
  3. 申請書を期限までに提出していること

⑵ 物納が許される財産

物納が許される財産とは、国債、地方債、不動産、船舶、社債、株式、証券投資信託、動産等が挙げられますが、原則として、決められた順番でしか物納することができないことに注意が必要です。

例えば、不動産があるにもかかわらず、動産を物納することは、基本的にできません。

なお、抵当権の設定の登記がされている不動産など一定の財産は管理処分不適格財産として物納が認められていません。

⑶ 物納制度を利用する場合の注意点やメリット

また、物納した場合、不動産であれば、一般的に取引される価格で評価して、相続税に充当するわけではありません。

相続税評価額といって、一般的に取引される額の約8割程度で評価されるので、低い金額で処分するのと同じことになってしまいます。

他方、物納においてのメリットもあります。

不動産を売却して、そこから相続税を支払う場合、売却益に譲渡所得税が課税されますが、物納であれば譲渡所得税が課税されることはありません。

また、不動産を売却するわけではないため、不動産会社に支払う仲介手数料もかかりません。

そのため、買手がなかなか見つからない不動産がある場合は、物納を選択した方が良い場合もあります。

3 事前に資金計画を立てておくことが重要

もっとも、物納が認められる件数は年々減少しており、令和2年以降は、年間100件未満となっています。

参考リンク:国税庁・相続税の物納処理状況等

そのため、物納を申請しても認められる可能性は低いといえるでしょう。

相続税の納税金額は、高額になることも多く、特に不動産の相続財産に占める割合が大きい場合は、どうやって納税資金を捻出するか資金計画を立てておくことが重要になってきます。

資金計画がなく、不動産の割合が高い状態で相続が生じると、物納をせざるを得ないといった状況になりかねません。

また、資金計画については、一般に早く始めれば始めるほど効果が高いです。

そのためには、相続税に詳しい税理士に相談し、事前に資金計画を立てておくことをおすすめいたします。

名古屋で相続税について税理士をお探しの際は、税理士法人心にご相談ください。

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