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相続税の「連帯」納付義務とはなんですか?

  • 文責:税理士 内堀昌樹
  • 最終更新日:2023年12月25日

1 相続税の納税義務者

相続税は、本来、相続や遺贈によって財産を取得した者が、自身が相続や遺贈によって取得した財産について、納付しなければならないこととされています。

たとえば、遺産を2人の相続人が2分の1ずつ取得することとなった場合は、相続税の総額が5000万円であれば、各相続人は、2500万円ずつ、相続税を納付しなければならないこととなります(各相続人が取得した財産の課税価格が同額であり、いずれも未成年者控除等の控除が利用できないものと仮定します)。

ただ、相続税法は、同一の被相続人から相続により財産を取得した全ての者に対して、連帯して相続税を納付する義務を負わせています(相続税法34条)。

このため、一部の相続人が申告期限までに自身に課せられる相続税を納付しなかった場合に、他の相続人に対して、一部の相続人が納付しなかった相続税を納付するよう求められることがあり得ることとなります。

これが、相続税の「連帯」納付義務です。

2 連帯納付義務の限度額

連帯納付義務は、「相続によって受けた利益」が限度となっています。

「相続によって受けた利益」は、「相続又は遺贈により取得した財産の価額―当該被相続人の債務等―相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税額及び登録免許税」とされています(相続税基本通達34―1)。

ここで注意が必要となるのが、「非課税財産も含まれる」ということです。

相続税法では、例えば、みなし相続財産とされる死亡保険金の場合は、500万円×法定相続人の人数の部分など、相続税がかからない非課税財産があります。

これらの非課税財産も、連帯納付義務の額を算出する際には、「相続によって受けた利益」として加算しなければなりません。

この制度は、自分自身の相続税では非課税財産とされるのに、他人の相続税を負担する際には負担が生じるのはおかしいとの批判も根強いところですが、現行の制度では加算することとされています。

3 遺産分割時の注意点

以上のように、相続人は、本来、他の共同相続人が納めるべき相続税についても、一定の限度で連帯して納税する義務を負うことがあり得ることとなります。

そのため、遺産分割の際には、他の共同相続人が納税する資力があるのかどうかという点にも配慮が必要です。

特に、遺産分割で揉めてしまっているケースで、遺産に不動産が多く、預貯金が少ない場合、遺産である不動産を売るか、相続人自身のポケットマネーで相続税を支払う必要があるため、状況によって相続税を支払えない相続人が出てくると、連帯納付義務が問題になる可能性が高くなります。

実際、遺産のほとんどが不動産のケースで、かつ、遺産分割で揉めたため不動産の売却もできないケースで、ほとんどの相続人が相続税を支払えず、相続税を支払った相続人に、他の相続人の相続税の支払いの通知が来てしまったという事例もあります。

4 相続税でお困りならご相談ください

当法人では、相続税申告を得意とする税理士がご相談に対応いたしますし、必要に応じて弁護士法人心と連携することもできます。

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